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偉大なる導き★★★★★ by 151e
脳卒中に遭遇した神経科学者の大冒険と呼ぶにふさわしい自伝。
脳卒中で左脳の機能を一時的に奪われた著者を待っていたのは、
古来から宗教やスピリチャリズムで語られてきた悟りの境地だった。
これが本著の最も衝撃的なテーマである。
宇宙との一体感、絶対的な安らぎ、揺るぎない永遠の至福と平和。
自分と他人はおろか、あらゆるものとの境界線は存在しておらず、
「私」が、どこから、どこまでなのかも区別がつかない無我の状態。
おそらく、物心つく赤ん坊の頃は誰もが悟りの状態だったのだろう。
宇宙(神と呼んでもいい)の全てと結びついている安心感に包まれ、
心配も不安もなく、天使のような微笑を浮かべて喜びに浸っている。
もちろん、それで本人は永遠の愛と喜びを感じて幸せなのだが、
左脳の機能がないと時間や言葉の概念を理解することができず、
エゴ、自我、分離意識がないので社会生活を送ることはできない。
結局、著者は悟りの境地、赤ん坊の意識に定住することではなく、
左脳の機能を回復させて、社会に戻ることを決意したのである。
こうして、もう一度、白紙の赤ん坊から自分を育てていく。
人間は宇宙すべてと繋がっているという確固たる経験を物語り、
左脳を沈黙させることで誰もが宇宙を感じれるのだと著者は言う。
宗教や神秘めいたことはいっさい本著には書かれてはいないし、
悟りの境地とはいえ、脳神経分野の専門家が書いただけあって、
批判的な左脳も拒否反応を起こずに読めるのではなかろうか?
「神」や「宇宙」がぐっと身近に感じれる最高のパスポートである。
もっと早く読みたかった by 少納言
先年、父を脳梗塞でなくしました。この本は患者の側からの視点で、これまでの医療や介護がいかに当事者を阻害していたものか、と知らされました。
また、日常のストレスの対処法にも、役立ちます。
現代人必読の書です。
特殊な事例 by tabopapa
脳卒中で倒れた脳科学者の話しであるが、そのリハビリの経過での在り方など参考になる事が多々あるが、全般的には非常に特殊な事例である感じがする。左脳を中心に機能が影響を受け、右脳が支配していく状況を具体的に描いているが、現実的にはこの様な詳細な機微の変化を感じる事が実際できたのか疑問に思う面もある。
不幸の中で得られた、右脳の機能の素晴らしさを描いた後半は、多少宗教じみていて、科学者としての観点からの説明に徹してほしかった。
でも脳の可塑性の可能性の素晴らしさを十分理解できた。
脳科学者の脳卒中体験に立証された「奇跡の脳」の可塑性 by 長山 弘
ジル・ボルティ・テイラー博士の体験談
・ 1996年のクリスマス直前のある朝、激しい頭痛とともに目覚めた。
左目の奥が刺すように痛かったという。
・ 自分の脳で脳卒中が起きていることに気付いたとき、すでに左脳の言語野は侵され、言葉をしゃべることも、論理的思考も奪われていた。
・ 脳卒中を発症した博士を襲ったのは、不思議な幸福感で有ったという。
“私は生きている!そのことが、とにかく素晴らしく感動的であった。”と。
・ 脳科学者で脳が悪くなって行くことを体験した者は他にいただろうかと好奇心が強く働いたとも述べられている。
・ 病院に担ぎ込まれ、手術により一命をとりとめた彼女は、母親の数学者のジジと共に、その後の8年をかけて懸命のリハビリに励み、見事に言葉を取り戻した。
・ 脳の神経細胞は(原則として)再生しないので、出血により侵され、失われた神経細胞は元に戻らないが、残された神経細胞を訓練し、テイラー博士は、ほぼ脳卒中以前の生活ができるところまで回復した。脳は驚くほど柔軟だ。それを脳の「可塑(かそ)性」と呼ぶ。
・ 右脳と左脳の機能の違いが「右脳は直観、左脳は論理」などとされているが、それが本当かどうか、脳科学者の間でも意見が分かれているという。
人間の脳は実験することができないので、仮説を立てることは可能だが、なかなか実証することができない。その意味で、テイラー博士の体験談は、右脳と左脳の機能の違いが明白にある、ということの一つの証拠といえると言われている。
・ 右脳と左脳の機能の違いが「右脳は直観、左脳は論理」などとされているが、それが本当かどうか、脳科学者の間でも意見が分かれているという。
人間の脳は実験することができないので、仮説を立てることは可能だが、なかなか実証することができない。その意味で、テイラー博士の体験談は、右脳と左脳の機能の違いが明白にある、ということの一つの証拠といえると言われている。
・私も7年前脳梗塞に倒れ、現在1種2級の左マヒ者である。
脳卒中を科学的に体感しながら分析し、人間の精神の偉大さと自然との一体感のの実体験は、全世界の脳卒中患者の勇気と安らぎに貢献してくれた偉大な書であると思った。
興味深いけれど少し特殊すぎる体験 by bm8t-tkmt
この本は、NHKのドキュメント番組で知りました。ジル・ボルト・テイラーという神経解剖学者の女性が脳卒中(脳卒中とは脳出血と脳梗塞の総称なのですが、ジルの場合は動静脈奇形からの脳出血です)により言葉が使えなくなり、左脳の機能が低下したものの、手術により血塊を取り除いた後に8年で徐々に回復し元の生活にもどるまでになった回復の物語です。
脳科学者が自分の脳卒中の回復過程、および、障害時の様子を思い出して記載するという珍しい記録です。
非常に面白いのですが、後半が右脳の機能について「スピリチュアル」な考えが前面に打ち出されており鼻白んでしまいます。
それはそれでおもしろいんですけどね。
脳の機能に興味がある人には面白い本です。
